(3)バレーボールの特徴

@ バレーボールは「ボールが空間にある間、静止させることなくお互いにボレー(volley)し合う 競技」である。
【ボールを保持できない競技 (サーブ時を除く)】
プレーヤーにとって大切な事は攻守ともにボールに触れない(off the ball)時の動きである。い かに的確に予測するかが重要であり、予測する事で反応を早め、より有利な状況でボールコンタ クトできる。

A 一人が続けてプレイできない。 (ブロック時は除く)

B ネットを挟んで対戦する「ネット型」の球技である。その中でもバレーボールならではの特徴 があり、テニスや卓球では相手からのボールを一度で返球しなければならないのに対しバレーボー ルは3回の間 (ブロックは1回に数えない)に返球すればよいということだ。
「相手の変化(攻撃: アタック)に応じて (防御: ブロック&レシーブ)→「整え (トス)」→ 「意図的な変化 (攻撃: アタック)を加える」ことを繰り返し (ラリー)、チームのメンバーが協力し合って競技する。
他のネット競技では攻撃と守備が一体となり相対的にラリーが長く続く事があるのに対してバレー ボールではそれほど長く続く事は少ない。

C プレイの成功・ミスがただちにポイントとなる。

※ バレーボールの「オフェンス」と「ディフェンス」

バレーボールはネットをはさんで攻防を繰り返す集団スポーツです。ゲームは、サーブ、レセプシ ョン(サーブレシーブ)、レシーブ、パス、トス、スパイク、ブロックの7つの個人技術から構成され、 それぞれが密接に結び付き6人の選手による「オフェンス」と「ディフェンス」の集団的な戦術へと 発展していきます。

レセプション (サーブレシーブ)がセッターに正確に返球された時のサイドアウト獲得率は国際試 合やV・プレミヤリーグでは8割を超えます。したがってサーブ権を持つチームは相手側に得点され る可能性が高いです。サーブ権を得るということは、相手側にまず攻撃の権利を与えることになりま す。レセプションから始まる一連の攻撃が「オフェンス」であり、サーブする側が「ディフェンス」 です。テニスや卓球では相手のサービスゲームを破ると「ブレイク」というが バレーボールでは逆にサービスキープするのが「ブレイク」です。

ディフェンス側の得点をブレイクまたは「ターンオーバー」と呼びます。他のスポーツでは、ディ フェンスからオフェンスに移行することをターンオーバーと呼びますが、バレーボールの場合はター ンオーバーしても引き続きサーブを行うためディフェンスということになるわけです。

しかし、近年ではサーブのパワーアップが著しくビッグサーバーを持つチームにとってはサーブが 大きな攻撃要素となっています。一方、オフェンス側はレセプションを成功しなければ攻撃の チャンスがなくなってしまいます。つまりレセプションの重要性がかなり高まってきたと もいえます。

※ バレーボールの特性からオフザボールの局面での状況判断を育てることが重要

「オンザボール」と「オフザボール」

ゲーム中に直接ボールに関わるプレーを「オンザボール」、それ以外を「オフザボール」の状態と呼 びます。オンザボール局面というのはゲーム時間を通じてほんのわずかなもので実際にはオフザボー ルの時間がほとんどなのです。オンザボール局面でのプレーはオフザボール局面の動きで決まり、い かにオフザボール局面で適切な動きをするかでオンザボールになったときのパフォーマンスのよし悪 し(プレーの精度や決定率)を左右するといっても過言ではありません。

オフザボール局面の動きは、個人の状況判断力によって変わり状況判断のスピード、判断後に動き 出すまでのスピード、行動自体のスピードの合計が反応時間になります。

この動きを速くするためには正確な状況判断力が必要で日頃の鍛錬において自ら考え、判断して行動 することに慣れておかなければなりません。状況判断をすばやく的確に行うためには相手の動きや状 況を読む(リード)力が必要で、そのためにはリードするための情報を手に入れる観察力が必要にな ります。選択肢が多くあれば多いほどリードには時間がかかるのも事実ですが、これは経験を積む以 外に方法はありません。キャリアを重ねても何も考えないでプレーしていたのでは身につくことはな く練習の時からよく考えてプレーすることがよい経験につながっていくのです。

身体能力やプレーの正確性はもちろん、優れた状況判断力とともにオフザボール局面のプレーがい かに優れているかが選手としての資質となります。

Fig. 3